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スウェーデンの障害者オンブズマン

ジェニー・オラウソンさん講演記録


日時:1999212日(金)
場所:シニアワーク東京
主催:「人権を考えるセミナー」実行委員会

東京都では、19984月より11施設においてモデル事業として「施設サービス評価基準」を作成し、施設内部での点検や外部のオンブズマンによる評価などが既に取り組まれています。99年度の本格実施に向けて多角的な情報を得ようという趣旨で、「人権を考えるセミナー」が開催され、スウェーデンからオンブズマン局調査員のジェニー・オラウソンさんも参加しました。

●講演:スウェーデン障害者オンブズマン局調査員、ジェニー・オラウソン

ハンディキャップオンブズマンであるインゲルさんが35年前に障害者福祉ということについて関わり合った頃、当時はまたスウェーデンに入所施設というものがありました。それ以来彼女はストックホルムに移り、施設というものが閉鎖されるように働きかけました。そして、その後、パーソナルアシスタント法という法律を作成するのに非常に寄与されているわけです。この介助サービスとも呼ばれている法律は、非常に画期的な法律だったのですが、この法律により、機能障害を持った人達が日常生活を仕事の場、余暇の場とかという日常生活において普通の人達と同じ生活が出来るようになりました。それからスウェーデンの国家は19991231日、全ての入所施設が閉鎖されるという決議をしました。

私はこれから、いくつかのスウェーデンの法律がどう変わってきたのか、という過程について、それから、機能障害を持った人達に関することがどう変わってきたか、ということについて話していきたいと思います。その中でハンディキャップオンブズマン(障害者オンブズマン)というものの働きを述べるつもりです。

当然、私は、その中で、国連の参画、機能障害者の参画、平等に関する基準規則ということについても、お話しなければなりませんが、私たちの役割というのは、その国連の基準規則というものを押し広めて、それが守られているように見守るのが私たちの役目です。それから、1994年に障害者オンブズマン法が出来ましてオンブズマン局が設置されてきてからのことを述べます。国連の基準規則に書かれていることを遂行していく為には、その国のしくみがどうであるかということが大事になります。その中でスウェーデンの政策というものが(社会福祉政策ですとか障害者福祉政策というものが)それに合っているものであるという伝統がありましたし、オンブズマンというスウェーデンの制度というものが非常に役立ちました。

オンブズマンというのはスウェーデンにある法律の補助的な役割をするわけです。スウェーデンにはオンブズマンというというのは司法オンブズマンの他に平等オンブズマン(男女平等に関すること)、消費オンブズマン、児童オンブズマン(子どもに関すること)、差別オンブズマン(人権に関すること)、障害者オンブズマン、というものがあります。

司法オンブズマン(日本語で議会オンブズマン)は、議会によって選ばれる人ですが、この他の5つのオンブズマンというのは政府によって任命されている国の機関です。オンブズマン同士の間では、この一つの問題が他の部分に重なることもあるものですから、(例えば、子どものことであるのか、平等のこと)そういう重複するような問題は他のオンブズマンと一緒に検討したり、或いはより適切な方にその問題を回したりすることもあります。

なぜ1994年に障害者オンブズマンというものが設けられたかというと、他のオンブズマンの分野でもそうですが、機能障害を持っている人達というのは、色々な差別受けたりすることがあるからです。もう一つの大事な理由の一つは、国連の基準規則というものがスウェーデンで守られているかどうかを監視するためです。

国連の決議が出された時も、専門委員会では、特に子どもで機能障害を持った人達、或いは男女関係のこと、それから精神的な障害を持っている人達の為の状況が19972000年の内に改善されるように強く要望しました。

その為に1994年に障害者オンブズマンが設置された時には、特別に機能障害に対する問題が解決される為にスウェーデンの国家予算の中に1998年度、1999年度予算の中に特別予算案というのが組み入れられました。障害者オンブズマンの役割の第一次的なものは、機能障害を持つ人達の権利、それから利益、関心を見守ることです。目的は、機能障害を持つ人達が社会において完全に参画していること。それと完全に平等であること。それらのことを法律と見合わせてそれが損なわれている場合に障害者オンブズマンが出てくるわけです。

ハンディキャップオンブズマンというのは一つの国の機関で6年の任期を持っています。オンブズマン局としては10人の職員がいて10人のうち5名が法律関係の専門職の人達です。人数が少ないのですが、この人数が少ないために色々な専門職の方々と全国的にわたって連結しながらその働きを担っています。

その他にハンディキャップオンブズマンの周りには評議会、協議委員会というものがあります。特別な役割を持たないし、運営にも関わりません。これは団体の加盟ではなく、個人の資格で参画しています。当然、機能障害を持っている人達の権利を守り差別とか区別が行われていないようにする為には色々な役割があります。

ここで一つオンブズマンの仕事の中の中心的な実際の仕事である届出入れについて説明します。この届け入れが出るというのは、つまり、苦情が出ているということです。苦情の届け入れを受理しますが、昨年は149件あり、半数は改善されました。これは国にとって非常に大事なことで、この苦情を届け出によって、大体法律にもし欠陥があるなら何がどういうことで欠陥があるのかが分かる訳です。それで、その苦情届け入れされると相手の方に説明を求めるとかいうことを殆ど文書で交換することが多いです。もし相手先が満足するような答えを出さない場合、オンブズマンはそれに対し批判することができ、又、解決策を提示できます。もし、苦情が出た場合、オンブズマン側としては、法律に照らし合わせて、法律が間違っているとか、或いはその官庁とか機関とかいった所が間違っているという様な発言はしません。あくまで、機能障害を持っている人達の権利が守られているかどうかということを見守ります。

目的としては国連の基準規則がスウェーデンの法律でその基準規則を守っているかどうかを見るものですから、あくまでもスウェーデンの中で機能障害を持つ人の権利が守られているかどうかを法的に擁護されているかを見守っているだけです。コミュニティー(都市町村)が機能障害を持った人に対するサービスの責任を持っているわけですから、そこはオンブズマンが質問条項を出して、時にはそれについて答えなくてはならない義務を持っています。

それからオンブズマンは、例えば、官庁ですとか機関とか、或いは一般の会社とか団体というものに対して交渉とイニシアチブ(主導権)を持っている。交渉の主導権を持って交渉にあたるようにします。

ここで苦情届け入れということから離れて権利というものを個人個人、インフォームしていくということに移りますが、個人個人はオンブズマンに相談できます。手紙や電話などで、もし何か問題があったときは、法律というものを(こういう法律があるという)情報を教えます。裁判の方法だとか、その苦情をどういう風にもっていくかということを色々教えてあげるわけです。

昨年度では、そういうようなアドバイスの件数が1,084件ありました。これは前年度に比べて40%の増加ですが、これを見ても、アドバイスに対する要望というニーズが増えているということが分かります。その他に、法律相談という形でインターネットのホームページに300頁に渡って、障害を持つ人達に向けてそういう法律的なサービスが受けられるように、いろいろな情報を発進しています。

オンブズマンの中心的な仕事の中に、現在の法律の欠如というものを見出すという、そういう国連の基準規則に、現在の法律がそれに合っているかどうかを見守るということがあります。

それによって、もし、機能障害を持つ人達の権利とか生活において、現在の法律がもし合っていないことがあったり足りないものがあるとすれば、それを整理していきます。で、その調査によって、いろんな法律ですとか機構機関に欠如があるのかどうかということが分かる訳ですから、調査というものは、私たちにとって非常に大事な仕事となります。例えば、不平等ということや差別されるということが出てくる場合は、その差別されているものの原因を探るということが大事ですが、調査によってそれをいろいろと検討して判断して、どこにその差別の原因があるかということに辿り着かなければ、その差別というのは無くなりません。

そのようにオンブズマンというものは、原因を見つけるだけじゃなく、その原因となるものをなくするための一つの解決策ということを見つける為にも非常に重要です。そして、国連の規則条項にあるように変えていくような解決策を見つけ、差別というものを無くすための解決策を見つけるということにおいて、調査というものが非常に根本的な仕事になります。

国連の基準規則というのは22章からなっているのですが、この国連の基準規則というのは、各国政府に対しての強制力はありません。強制力は無いけれども、非常に道徳的な国の意志というものを問われていますので、これは全世界的にそういう基準規則がひとつの基盤となるようにという意味を持っています。

障害者福祉政策の大きな目標の一つは完全な参画と平等ということですが、この国連の規則は非常にスウェーデンの社会生活にかなり密着しているわけです。それで国連の基準に関してはスウェーデンが主導権をとって非常に力を入れています。この中に二つの重要なことが書かれていますが、それは、全世界中どこにでも一般的に言われている、所謂、機能障害という言い方ですね。機能の欠如、或いは低下ということ、それからもう一つはハンディキャップという考え方です。つまり機能障害というものは、周りとのなかでハンディキャップというものになるという考え方です。

機能障害というものが、周りとの関係の中でいろいろな差し障りが出てくる、ということがハンディキャップの原因になる訳ですから、いろいろな、例えば、社会生活とか教育とか、そういうもののあらゆる生活をおくるうえで妨げが無くなるということが、国連基準規則の目的の一つです。国連の条項の中でも、特に医療ですとかリハビリテーションとか、或いは介助器具ですとか介護サービスとかというものが、個人のニーズに合わせて行われることによって、個人と周りとの関係によって生まれるハンディキャップを、少なくしたり、或いは無くしていこうというものです。スウェーデンにおいては、このような考え方というものが、伝統的の社会福祉政策の中にありまして、それが、例えば、社会サービス法だとか、LSS法だとか、保健医療法だとか、アシスタント法だとか、というような一連の法律によって社会生活に表れています。

ここで私は、その法律がどのように変わってきたかということをお話したいと思いますが、それで、私が最初に述べました、障害者に対する政策の変化ということについての話ということにしたいと思います。

知的障害者という定義について言うと、定義というものが明記された最初の法律というのが、所謂、権利法というのが、1955年にできました。それが。1967年になりますと、援護法というものになりまして、いろいろなサービスというものを障害者が持つ権利として提供しなければならない、というように規定されるようになりました。で、1984年になりますとそれが新援護法という形になりまして、日常活動やグループホームでの居住が権利として明記されました。この84年に出来た新援護法というものが一つの大きな基盤になり、1994年にLSS、日本語で言いますと機能障害を持つ人に対するサービス援護法という法律が出来、知的障害を持つ人だけじゃなく、自閉症や自閉傾向を持つ人達、或いは交通事故などで成人になってから長期的な脳障害を持つことに至った人達をも含めるというようになりました。84年の新援護法によって入所施設が解散することになりますが、94年のLSS法では、その日程が決められて、今年の1231日をもってスウェーデンには入所施設というものが無くなります。

今までのことをまとめてみますと、私たちの社会政策の目標というのは、社会生活を送るということにおいて、障害を持つ人が完全に参画をしていくということ、それが完全に平等ということ、それが個人のニーズに基づくということです。このLSSの対象となる人というのは、先ほども申し上げたように、知的障害を持つ人達、自閉的な傾向がある人、成人期になっていろんな事故や病気などで脳障害をもった人達、65歳以下で老人病でない原因で、日常生活をおくるのに不自由を感じる人達全て、それから、長期的な精神障害を持っている人達、そういうのがこの法律の対象者です。

これは一つの権利法です。権利法ということはつまり、そのサービスがもらえない時は訴えることが出来るという事です。この保障されてるサービスには、いろんなものがありますが、個人的な法律のアドバイスということも含めて、日常活動ですとか住居のこと、それから、交代サービスと言われている、家族が疲れてるから代わりにやってくれるというようなものも含めて、それから、他の場所で家族の人がちょっと用事があるのでいないから、ちょっと一時的に預けるショートステイなど、一連のサービスが保障されています。

その中で大事なことにパーソナルアシスタントというものがありますが、これは1週間で20時間未満のサービスにおいてはコミューンが、また20時間以上の場合は国が社会保険の形でそのパーソナルアシスタントの給料を出します。そのサービスを決めるにあたって、個人プランというものを作り、それで、個人一人一人のニーズが違うわけですが、そのニーズに合わせてそれらに必要なサービスというものを提供します。

所謂、地域に住む普通の市民には、福祉のサービスは社会サービス法によって提供されています。そのなかにあってLSSというのは、特に重度な障害、或いは、特に難しさを持っている人達に対してのものですが、社会サービス法というのは、その他の一般の人達に対する社会サービスが保証されるということです。

その社会サービスの中には、医療や介助器具のサービスであるとか、アドバイス的なこととか、それから高齢者には、これはLSSの中にも入っていますが、ガイドヘルプサービス、つまり外出する時にそのサポートしてくれる人ですとか、或いは介護サービスとか、掃除や洗濯などの家庭サービス、料理したりだとか買い物したりするのをサポートする、ヘルプするというのもあります。

このLSSと社会サービス法共に、個人ニーズに合わせてやるわけですが、そのことによって個人の参画というものが浮き彫りにされてきています。その社会サービス法にも、法のなかで与えられるサービスというものは質の高いものでなくていけないということと、それを行うサービス員というものは、資格を持った人でなければならないということが書かれています。

国連の基準規則の中には、各国政府はニーズを持つ障害のある人達に補助器具、介助器具というものを供給しなければいけないということがあるわけですけれども、スウェーデンにおいては、それが医療法の中に取り入れられていて、ニーズがあると認められた補助器具、介助器具は無料でもらえます。国連の規則条例の中には、リハビリテーションの提供ということがありますが、リハビリテーションというのは復帰させる、元に戻すという意味ですけど、その中には機能の低下による、或いは欠如による補いというものを行うということもあるわけで、つまり介助器具とかもそういうものにあたります。

スウェーデンでは、このリハビリテーションの他にハビリテーションということも保証されています。ハビリテーションもリハビリテーションも、社会的なもの、教育的なもの、それから職業的なものにわたってリハビリとハビリが提供されます。これは法律の中でも言及されていますが、それらのリハビリ・ハビリに関しては、まず個人のニーズがあって、そういうものと、それに対して周りの社会でやらなくちゃならないことがある。そして、それらを個人の視野という観点から、周りでどうやったらうまくいくかということの視点に移して考えていく。
これは、機能障害を持った人達が社会生活、仕事の内容とかにおいても他の人達と同じような機会が与えられるという、機会均等を考えるうえで必要なことです。

半分近くの私達へ来る苦情の届け出というものは、所謂、適応化というんですか、例えば、建物に入る時になかなか入りにくいとか、ランプが無いとか、学校に介助器具が揃っていない、そういう生活していく上で適応化がされていないということに対する苦情です。

基準規則の中には教育の平等化というのがありますが、教育においても平等に教育を受ける権利がある。教育における平等ということで、スウェーデンではどんな重い障害をもった人でも学校に入り、一緒に共学できるという権利があります。それが出来るために、例えば、教材とか、環境、学校の中の仕組みとか、施設のなかでのことですね、それが障害を持つ人に適応するようになっていなければなりません。スウェーデンの障害を持つ学童児は、学校の機会を均等に与えられていて、学校は統合化されています。統合というのは普通学校と一緒にあることですね。その他に、視覚障害であるとか聴覚障害であるとか、そういう特別な障害を持った人達はそれらの専門学校に行きます。

国連の規則条項の中には労働における平等、参画ということがありますが、労働については仕事の場合においても平等に行うということがうたわれています。この適応化ですか、障害を持った人が労働する上においての、それがうまく行くようにスムーズにいくような対応ということに対しては、まだ不足なところがありますので、それについてはいろいろ提言しています。

国連の規則条項には、最後になりますが、その13条の中に、そういうことを可能にしていくために、他の障害者の団体と協調していくことであるとか、或いは教育のことであるとか、それについての知識を深めていく、そういうことに対しての知識の向上をしなければいけないということがあります。他の、いろいろな各種の障害者団体との連結ということにおいていえば、スウェーデンは非常に昔から行われていまして、現在44の団体が国からの補助を貰っていろいろな活動をやっています。

最初にこの国連の基準規則というものが、各コミューンでどのように守られているかというような調査があります。1996年にスウェーデンの各コミューン(各市町村)に対して、各市町村がそれぞれ障害者福祉政策というものを持っているか、それから、それを施行していくためのプランを持っているかということについてのアンケートを取りました。それによりますと、半数に満たないコミューンが、それらの政策を持っていたということがわかりました。その半数以下しかいなかったコミューンのなかでは、3分の2のコミューンがこれからそういうふうな社会政策機関とかそういうものをつくるという用意があるということを回答しましたので、私たちはそれが非常に刺激になりまして、コミューンに向けての障害者に関するインフォメーションでもある「障害読本」というものをつくりました。

それから企業に働きかけて、会社の中で障害をもった人達に貢献するような製品を作っている会社とか、障害を持った人達を雇うことについて貢献した会社に対して賞金を与えるという、そういう広報もやりました。また、社会保険局におきまして、障害を持った人達の家族に対する保険金とか、他にもあるんですけれども、それを申請して受理されるまでにかかる時間というものが、どのくらいかかるのかというような調査もやりました。さらに、仕事をやってゆくなかで、障害を持っているということでどんな差別があったかというような調査をしました。

今まで、私は障害者オンブズマンの仕事について話しましたけれども、スウェーデンではその他に福祉サービスに対する監査、監視をおこなっている機関があります。それは、社会庁ですが、監査庁みたいな性格で、コミューンでの社会サービスというものがちゃんと行われているかということを監査する機関があります。その他に公共病院などですが、その病院による処置というものが適切であったかということを監査する患者委員会というのが特別な監査機関もあります。

今日私は、ハンディキャップオンブズマンというのがどういう役割をもっているのか、どういう地位にあるのか、ということについてお話をしました。法律というのは非常に大切なものです。それから、障害者オンブズマンというものも非常に大事です。一番大事なのは、障害を持つ一人一人が、いろんな場所で平等に参画して行くという目標を、毎日の仕事や生活の中で具体的に行っていくことが大切です。
どうもありがとうございました。


 

 

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