クラブEKO

 
  • フォントサイズを増やす
  • デフォルトのフォントサイズ
  • フォントサイズを減少させる
Home スウェーデン スウェーデンの福祉理念 自分のことは自分でするということ

自分のことは自分でするということ

最初のカルチュアショック!


片道切符で日本を出るというと、行く先々で稼がなくてはならない。500ドルしか持ち出しが出来なかった頃だから、着いて1ヶ月もすると無一文になってしまった。そこで人づてに「アーティスト職安」というものがあることを聞いてギターを抱えて飛び込み、簡単なオーディションやインタビューの後、「仕事を探してみるから、1週間ぐらいしたら戻って来なさい」と言われた。労働許可証は持ってなかったが、学生ということだと人の紹介でも仕事が出来た、古き良き時代の話である。

そこで 「まあ様子を見て、もし駄目だったら皿洗いでもするか・・・」と一先ず安心して帰り、1週間後に話を聞きに行くと、「申し訳ないけど、まだ分からない」という返事である。

残念だが、そんなに甘いものではないと自分に戒めるように聞いていた僕に、その職安の人は「それで、あれから仕事見つけるのに、君自身はどんなところ回ってみたの?」と尋ねた。

僕が「いや、一応ここで探して貰えるということだったので、その様子を見てからと思って・・・自分では別に他のところを回ってはいない」と答えると、相手は僕の肩に手を置いて、「あんた、自分の仕事なんでしょ?自分でも探さなきゃ・・・」と笑いながら言った。

旧ソ連からヘルシンキを経由してストックホルムに入り、ようやく北欧独特の建物の感じや人の様子にも慣れてきたという頃であったが、その職安の係員の一言に、「あ~、ここは日本じゃないんだ!」という思いが全身を貫いて、思わず赤面したものである。

僕の中学校の校訓は「明朗闊達、自主独立」というものであったし、自分のことは自分でするくらいのことは誰でも知ってるはずだ。
しかし同時に、人に物を頼んだらその相手を尊重して、自分では勝手に動かないように心がけるのが礼儀というものではなかったか?

自分が勝手に動くと、頼んだ相手を信頼していないことにもなりかねないし、頼まれた相手も、自分に頼んでおきながら勝手に動くのは失礼だと思うだろう。まあ普通はそう考えて、それが相手を尊重するということにもなる。
結局のところ、人情という風土の中で、自分のことは自分でするということが曖昧にされていることが実に多い。

 

自分のことは自分でするということ、つまり自分のことは自分に責任があるという至極単純な、しかも最も基本的なことの重さを初めて味わい、日本人である自分が持っている観念の曖昧さを初めて指摘されたことに、思わず赤面をしてしまったのである。スウェーデンに来て、初めて味わったカルチュアショックでもあった。


 

 

オンライン状況

現在
 ゲスト 58 人
 がオンラインです