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Home 音楽の広場 スウェーデンの音楽と音楽療法 スウェーデンの音楽療法士

スウェーデンの音楽療法士

専門職、それとも専門家?


スウェーデンでは、まだ音楽療法という分野が確立されていなかった70年代の終わりから80年代のはじめ頃にかけては、例えば機能障害児や成人と音楽で関わるとそれが音楽療法と呼ばれ、また音楽の活動をする人を「セラピスト」と呼んでいた時期もあった。

しかし、それ以降音楽療法の教育が始まって以来は、スウェーデンで音楽療法士を名乗るには、音楽大学で音楽療法を専攻し既定の過程を終了していなければならない。しかしスウェーデンでは、音楽療法士は国家資格ではないし、今後それがいつなるであろうかという見通しは現在でも立てられないというのが実情である。

現在音楽療法の教育は、王立音楽大学、インゲスンド音楽大学、ショーヴィーク国民高等学校の他、音楽療法という名称は使わないがヘルノサンド国民高等学校で「音楽ハンドリーダー」という名称で特に障害者や高齢者向けの音楽活動をリードするリーダーの養成が行われている。

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(王立音大での授業風景)

ストックホルムにある王立音楽大学の音楽療法科は同大学の音楽教育学部の付加学科であるため、そこで学ぶには音楽大学で音楽教育科目の過程を終了しているか、他の専門学科(心理学など)を終了し5年以上の臨床経験を持つか、あるいは現場で長期の現場経験を持つ者となっていて、実際には25歳以下の人が入学するのは難しい。

つまりスウェーデンでは、音楽療法士である以前に何か別の資格を保有しているということが前提となるために、音楽療法士は同時に医師や心理士、あるいは音楽の教師や福祉の専門家であるということである。実際、音楽療法士の中で音楽療法のみを仕事としている人は数少なく、多くは自分の仕事の中で音楽療法の知識とスキルを活用していると言えるだろう。

中には、いわゆる「音楽センター」などを開設し、地域のいろいろな施設や学校、また「ドメスティック・バイオレンス(DV)」の被害者や学習障害あるいは認知症患者など、特定の対象者との音楽活動を行っている音楽療法士ももちろんいるが、どちらかというとそれらはごく少数である。

ということで、スウェーデンでは音楽療法士は独自の専門職ではなく、音楽療法を自分の仕事の中で療法的な手段として活用する専門家と言えるのではないだろうか。いずれにしても、それぞれの仕事において、音楽療法を用いることによって対象になる人のQOLの向上に大いに貢献していることには違いない。また、そのために国民の医療や福祉を管轄する社会庁によって、音楽療法は他の療法と共に「代替医療=alternative medicin」として認知されている。


 

 

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