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ニーズは要望ではない

福祉でいう「個人のニーズ」


「ニーズ」というのは、「必要なこと」で、「満たされなければいけないもの」です。
「要望」というのは、それを「望むもの」であり、「叶って欲しいもの」です。

少し前の話ですが、ある知的障害を持つ人の日常活動をしている施設で利用者のケアプランを見ていて、利用者のニーズという欄に、その人の要望というより家族の思いや希望が記入されているのを見ました。

「えっ?」、と思い他の利用者のケアプランを見ると、やっぱり同じように、その人の「やりたいと思っていること」や、特に重度の障害者の欄には、おそらく本人が言ったと思われないこと、あるいははっきりと「家族の要望」として「いろいろ出来るようになりたい」などと書かれていました。
そのケアプランは、障害者の全国的な団体の勧めるケアプランのマニュアルでした。だから、おそらく全国の施設でそれを使用しているんだと思うし、今でも利用されていると思います。

例えば、身体が思うように動かないあるいは足が不自由な人にとって、車イスというものはその人にとって移動する時に必要なものです。そのために「こういう車イスが欲しい」という要望があるとしても、車イスはその人が生活をする上での必要不可欠な条件です。だから、その人にとっては、車イスの確保というニーズが生じます。

僕とあなたが、「スウェーデンに行って、何かを勉強したい」と思っているという状況を考えてみましょう。
ここで前提として、僕はスウェーデン語が出来るけどあなたはスウェーデン語が分からない、もうひとつ、逆にあなたは貯蓄があってお金はあるけど、僕には旅費が不足しているという状況にしてみましょう。
そうすると、僕はスウェーデンで通訳はいらないけど、行くための資金が必要であり、あなたは旅行の資金は必要ないけど、スウェーデン語の通訳が必要となるでしょう。
つまり、僕らがスウェーデンに行って勉強するために、僕には「お金があること」がニーズになるし、あなたには「通訳」というものがニーズになりますね。

商業界では「顧客のニーズ」ということが言われ、顧客が何を望んでいるかがメーカーにとっては「ニーズ」になるでしょう。ここでは「要望」というものがニーズになるけど、福祉の場合は「暮らしをどうするか?」の世界です。
その人にとってのニーズとは、その人が暮らしていくために、あるいは活動をするために必要なこと、満たされなければいけないことでなければいけないはずです。
「要望」というのは、その上で何かを希望するものであり、それは「叶えて欲しい」ものですよね。
問題になるのは、その人が自分のニーズを表現できない人の場合、ほとんどは家族や職員などの「願い」がニーズになり、その人が本来必要なニーズを満たされないばかりか、その人には負担になることが多いということです。

専門職の教育の中では、その辺はきちんと整理されニーズはニーズとして理解して実践されていると思いますけど、一般的に施設の中で職員がケースを担当する場合に、往々にして誤解されていることが多いのではないでしょうか。
あなたの施設では、どうされていますか?



 

 

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