スウェーデンの音楽療法(その6)音楽療法士の働く場

⚫︎音楽療法士を志す人

スウェーデンの音楽療法に携わる人は、音楽療法士という肩書きの他に専門的な職業を持っていることが多く、他に職業を持たずに、純然たる音楽療法士として仕事をしている人は、ほとんどいないと言っても過言ではないかもしれません。

音楽療法士というものが社会庁で認証された国家資格ではないということもありますし、また、音楽療法士を養成する二つの音楽大学では、音楽療法の科目を履修するためには、すでに音楽教師や特別教育教師、あるいは他の職種での教育を修了していなければならないこともその理由として挙げられます。

つまり、音楽療法をこれらの音楽大学で学ぶためには、すでに音楽教師とか学校の教師、あるいは教育を受けた音楽家や、医療や福祉の分野での資格を持っていなければならないからです。

また、それらの専門職にある人が音楽療法士の教育を志望する場合は、音楽療法士になるためというよりは、自分の仕事の領域において、音楽療法の考え方や方法を生かしたいと考えている場合が多いということです。

学習障害や行動障害を持つ児童はどこの学校にもいますし、一般の学校の音楽教師が、それらの児童に単に音楽教育という範疇だけで対処するのは、難しいものがあります。

また、特別支援学校などの音楽教師や特別教育教師などにしても、生徒や児童に対して、特に心理的な側面から一人一人に関わらなければならない場合もあります。
そのため、音楽療法士の資格を持つ人の中には、学校の音楽教師や特別教育分野で音楽を担当している人が多いわけです。

学校は教育という分野であるので、それらの音楽教師や特別教育教師が音楽療法士の資格を取得したとしても、授業をする場合にはあくまで教育ということですが、元来スウェーデンの音楽療法が「教育的音楽療法」という背景があって出発したこともあり、音楽の教育と音楽療法という異なる分野が分離しているということではなく、ハビリテーションの一環として連携しているものとして考えられています。

⚫︎障害児・者の音楽療法

スウェーデンでは、各コミューン(市町村自治体)に「障害者ケア」と「高齢者ケア」という福祉サービスの部門がありますが、この場合の障害者とは、主に知的障害や自閉症、それに精神障害者を対象にしています。

例えば視覚障害や身体障害、あるいはADHDやLDなどの障害については、リハビリを必要とする場合には県自治体が管轄する医療の分野で対応されますし、それ以外の場合は、それぞれ必要な支援を受けながらも一般の社会サービスを受けています。

障害児教育と音楽療法ということでみると、学校ではもちろん音楽の授業ということになりますが、特別支援学校での教科はそれぞれの学校に任されている場合が多いので、それが音楽療法として行われるかどうかは、音楽の教師や学校の方針によります。

音楽療法士の資格を持つ教師の授業は当然音楽療法的な方向で行われるでしょうが、その方法はそれぞれの教師によって違います。
また、特別支援学校などに音楽を担当する教師がいない場合には、外部から非常勤として音楽を担当する人が来る場合もあります。
その際には、音楽療法士の資格を持つ人が受け持つ場合が多いです。

スウェーデンの特別支援学校で特徴的なのは、90年代から、特に年齢が上のクラスや高等特別支援学校に「創美科」という、主に音楽や絵画、ダンスなどを授業の科目として行う学校が増えてきたことです。

数人の教師が共同でそれぞれの科目を担当する場合が多いですが、合同してミュージカルなどを学内外で発表することもあり、特別支援学校での文化的な教育に貢献しています。

障害児が21歳になると、高等特別支援学校を卒業して一般の労働市場で就労する人も少なくありませんが、それ以外の多くの知的障害を持つ成人はデイセンターに通うのが普通です。

デイセンターでの音楽活動は、職員の中で音楽を専門的に出来る人があまり多くないので、学習連盟から音楽の指導者がきて、学習サークルの形で行うのが一般的です。

学習連盟の学習サークルはあくまでも学習というのが趣旨ですが、デイセンターで音楽活動を行う目的は、やはり利用者が音楽をすることによって「生き甲斐」を感じることや、利用者同士、また職員とのコミュニケーションがより良くなるようにということがあるので、音楽の活動が音楽療法であろうが学習であろうが、その形は問題にされません。
大事なことは、それらデイセンターの目的が叶うように、利用者が生き生きとするということです。

学習連盟から派遣される音楽指導員には、特別な資格は必要ありません。
音楽をすることと、サークルを活動させるために必要なリーダーシップが要求されるわけですが、活動の内容は指導員が決めるか、あるいはサークルのメンバーとの合意の上で行われるので、ここに音楽療法士がその活動を音楽療法として行うことも出来るわけです。

これは、障害者や高齢者という違いにかかわらずどのような場でも同じなので、音楽療法士がこのような音楽サークルの指導員として音楽療法を行うことは非常に多いです。
ただ、全体のサークルの中で音楽療法としてどのくらい行われ、どのような形で行われているかについては、今のところ統計もないので分かりません。

障害者ケアの中で音楽が行われるのは、これら特別支援学校や日中活動の場で行われる他に、例えばグループホームなどで余暇として行われるものがあります。
その場合も、学習連盟によって運営されるサークルとして行われるものがほとんどです。

身体障害者の成人の場合は、そのほとんどが一般就労しているのと独自で生活をしているために、日中活動や居住のための施設というものはあまりありません。

あるとすれば、交通事故などで障害が生じたいわゆる「新障害」と呼ばれる、つまり生まれつきの障害ではない場合に、リハビリとして音楽療法が使われる場合があります。
その場合は、リハビリを行う一般の病院や、それらの障害者をサポートする団体などが、学習としてサークルの形で行うことが多いです。

⚫︎高齢者の音楽療法

スウェーデンと日本では、高齢者福祉のあり方に大きな違いがあります。
そのうちの一つに、まず高齢者が住む形態ということが挙げられます。

スウェーデンでは在宅でサービスを受けるというのが基本ですが、高齢になって、例えばひとりで大きな持ち家に住むと何かと不便である場合には、「サービスハウス」という、日本で言えば「ケア付き住宅」に住むのが一般的です。

現在のスウェーデンで高齢者の住宅としては、一軒家やアパートなどの住宅を別にすれば、この「サービスハウス」というのが主流です。
しかし、これは日本の「ケア付き住宅」とは違い、いわゆる施設ではありません。

アパート形式の建物の全部がこれら高齢者の住む「サービスハウス」であることがほとんどですが、それぞれが個人の住宅であり、その建物の中やあるいは隣接する形で、日中活動の場やリハビリの設備があり、また看護師や介護員がいて、高齢者の住人はそれぞれのニーズにおいてそれらを利用するという形です。

施設というものでは、日本の特養老人ホームに似た形の「ナーシングホーム」、また認知症高齢者の住む「グループホーム」がありますが、その他の、例えば「介護老人保健施設」や「軽費老人ホーム」、あるいは「介護療養型医療施設」というようなものはありません。

つまり、スウェーデンには日本にあるような高齢者の施設というものの数は少なく、主なものは、それぞれが個人として住んでいるサービスハウス形式なので、施設で行われるリハビリや音楽療法というものは、日本と比べると非常に少ないです。

もちろん、「サービスハウス」にしろ「ナーシングホーム」、「グループホーム」に住む人たちは、それぞれリハビリは行います。
しかし、日本のように、施設において集団でリハビリを行うということは、ほとんどありません。

「サービスハウス」などのリハビリ室では、希望者がそれぞれ時間を決めて予約し、場合によっては数人が理学療法士によるリハビリを受けることはありますが、そのプログラムは、ほとんどの場合個人的に違います。

リハビリの一環で、例えばリズム体操などを数人の集団でやることはあるにしても、日本とは比較にならないほど、集団でのリハビリというのは少ないです。

音楽療法を使っての活動ですが、高齢者の住宅である「サービスハウス」や「ナーシングホーム」において、一緒に歌を唄ったり生の演奏を聞く機会は多いです。
しかし、これらはリハビリとして行うというより、あくまでそこに生活する人のリクレーションとして行われるのが一般的です。

このようなリクレーションの催しは、高齢者だから特別に行うというのではなく、例えば地域の商店街の中であるとか、公園とか、週末など人の集まるような場所では、コミューンや商店街などのイニシアティブによって、どこでも行われています。
基本的には、高齢者のサービスハウス内でのリクレーションも同じものです。

つまり、スウェーデンでは、高齢者というものをひとつのグループとして、それをリハビリの対象として考えるのではなく、リハビリはそれぞれ個人的に、個人の状況に応じて行われるものと考えられているということです。

このようなリクレーションの他にも、学習連盟から指導員が来て、サークルの形で音楽を楽しんだり、あるいは楽器の演奏を習うということもありますが、それも「リハビリ」という概念で行われるのではなく、他の一般市民と同じように、余暇として音楽を楽しんだり学んだりするということです。

しかし、そういう中で、80年代も終わる頃に、高齢者の音楽療法にというものも取り上げられるようになりました。
以前は特別教育教師として重度の知的障害児との音楽に携わり、また王立音楽大学の音楽療法科でも教師であったブリットマリー・アドルフソンは、彼女自身が定年を迎える頃に、高齢者の音楽療法ということに注目しだしました。

そして、王立音楽大学を定年退職すると、それまでの知的障害児の音楽療法から高齢者の音楽療法へと方向を変え、講座などを開いて高齢者の状況と音楽のあり方などについて関わりを深めていきました。
現在のショーヴィーク国民高等学校での音楽療法の教育というものも、彼女の働き方に影響を受けています。

ブリットマリー・アドルフソンが提唱した高齢者の音楽療法というものは、それ自体は新しいものでもユニークなものでもありません。
記憶が衰えることや、「歳をとる」ということが与える心理的な状況に対して、それに合わせて、昔の歌を唄ったり話をするという手法ですが、彼女の場合は、今まで高齢者がただ余暇に音楽を楽しむといった次元で音楽と接していたものに、高齢者特有の心理的な側面に焦点を当て、その楽しみ方の中に療法的な意味づけをしたことに意味があったのであろうと思われます。

また、ショーヴィークの音楽療法の教育の中で、高齢者を音楽療法の対象として取り入れたことにより、特に高齢者の音楽療法を行う療法士も現れるようになりました。

そして、サービスハウスや他の高齢者施設でのリクレーション的な音楽活動はやはりサークル形式で行われることが多い中で、教育を受けた音楽療法士がそれらの活動をリードすることも多くなりました。

ちなみにですが、障害者や高齢者のリクレーションは音楽療法であるかないかという議論は、FMT音楽療法の立場にいる人や、そもそも療法という考えに否定的な人以外、スウェーデンではほとんどありません。

⚫︎医療、その他の場

スウェーデンでは、病院などの医療の現場で働く音楽療法士は、実際には非常に少ないです。
精神病院の隔離病棟は随分前に閉鎖されたばかりか、大きな精神病院というのもなくなり、特別な場合を除いては、地域の総合病院の中に精神科のクリニックがあるだけです。

地域の病院の精神科に通院して治療を受ける精神障害者は、地域でのいろいろなケアを受けます。
日常的なケアが必要な場合は、コミューンが日中活動の場を設けることもありますし、また、いわゆる「溜まり場」的な、例えば喫茶店のような場を設けることもあります。

長期的な入院治療が必要な場合は、各地域にある一般の病院に入院する場合がほとんどですが、そこで隔離されるわけでもなく、もし身体的に問題がなければ、付き添いの病院職員やアシスタントと病院の外に出ることも可能です。

病院の精神科病棟での治療には、音楽療法としてGIM(ボニー式イメージ誘導法)が使われる場合があります。
しかし、GIMは非常に高度な知識と技術を必要とするので、実際に使える人はそう多くはありません。

王立音楽大学にはGIMの基礎講座がありますが、実際に病院などで治療を行うには、GIMの教育を専門的に受ける必要があります。
王立音楽大学でのGIM基礎講座はマルガレータ・ヴェリヤが担当していましたが、彼女は長くGIMの創始者であるヘレン・ボニーに指導を受けており、スウェーデンにおけるGIM教育の責任者でもあります。
それでも、実際に現場でGIM療法が行えるのは、彼女の他には数は少ないのではないかと思われます。

この他、癌の末期患者の音楽療法を行なっているアンネ・オルソンなど、病院で音楽療法を実践している人はいますが、前にも言ったように、数は非常に少ないです。
また、それらの音楽療法士は保険点数制度の中で医師の指示によっているのではなく、医師や他の職種との連携の中で、独立した音楽療法士として賃金を得て仕事をしています。

この他、病院ではありませんが医療の分野での音楽療法といえば、県自治体の福祉機関である「ハビリテーションセンター」において、障害児の機能訓練のひとつとして行われているものがあります。
この場合は病院での音楽療法とは違ってその数は多く、ストックホルム県全体では14箇所のハビリテーションセンターがあり、児童向けと成人向けのそれぞれ半数に分かれています。

音楽療法が行われるのは「児童ハビリテーションセンター」ですが、児童のセンターでは、主に身体機能訓練や言語療法、あるいは認知の機能を向上させる方向でいろいろな機能訓練が行われます。

音楽療法がすべての児童ハビリテーションセンターで行われているわけではありませんが、このハビリテーションセンターでの音楽療法では、機能の訓練という性格からFMT療法士による音楽療法を行う場合が多いようです。
しかし、これはハビリテーションセンター側のポリシーというより、FMT音楽療法士の集まりが組織的に働きかけをしている傾向もあるようで、もちろん他の音楽療法を行なっているセンターも多いです。

病院や学校、また日中活動の場以外にも、個人的にクリニックを開いている音楽療法士もいます。
例えばストックホルム市では、長年知的障害者との音楽活動に携わってきた音楽療法士で音楽ハンドリーダーでもあるウルフ・ヤーデルンドが、「ミュージックローダン」というクリニックを開き、いろいろな形での音楽療法を行なっています。
その対象にはもちろん知的障害者もいますが、その他に、学習障害を持つ児童もいます。
また療法のセッションではないですが、学校の教師や余暇活動の職員などを対象に音楽療法についての講座も開いています。

公的なものとしては、ストックホルム市郊外のシースタという地区には、地域の行政と王立音楽大学の提携により2001年に開設された「音楽セラピーセンター」というものがあります。

ここでは、地域の学校や精神医療ケアの分野、あるいは障害者団体や地域の社会サービス部門などと連携して音楽療法を行う他に、健康予防ケアのための一環として、各種の職場や幼稚園、学校などでの音楽活動や、音楽療法についての研修、ワークショップなども行なっています。

ストックホルム市の郊外にあるナッカ市には、「ソールスンダ」と呼ばれる、高齢で精神病や精神障害を持つ人のホームがあります。
ここは50年代からの民営による施設で、他にはあまりない個人経営の施設の一つでもあります。

ここには約30名の高齢者が住んでいますが、音楽療法士であるアンソフィー・パウランデルが常勤して、グループによる音楽療法を行うかたわら、職員に対するスーパービジョンも時々行なっています。
職員に対するスーパービジョンでは、リズム楽器を演奏したり歌唱をする中で、職員が自分の状況を認識したり、あるいは仕事での不満や疲れに自分自身で対応出来るようにリードするというものです。
彼女は、現在王立音楽大学の音楽療法科の主任で、またスーパービジョンの講座も受け持っています。

スウェーデンハンドセラピーについて

スウェーデン発祥のマッサージ

スウェーデンでは1960年代に、未熟児のケアの中で、未熟児に手で触れることによる発育が顕著であったことに着目したマッサージの手法が開発され、その後、障がい児のケア、またがん患者の終末期における緩和ケアや高齢者ケア、認知症ケアでの実践へとその領域が広がっていきました。

このマッサージは、スウェーデンでは「タクティール・マッサージ」と呼ばれていますが、単に「タクティール」あるいは「タクティール・タッチ」また「タクティール刺激」などと、いろいろな呼び方がされています。

また日本では、「タクティール」の他に「ハプティック」とも呼ばれることがありますが、ここでは「スウェーデンハンドセラピー」としてご紹介していきます。

「触れる」マッサージと、その効果。

スウェーデンハンドセラピーは、筋肉や深い組織を揉みほぐすのでなく、皮膚を撫でるように柔らかく触れる「ハンドマッサージ」です。

触覚神経を刺激することで「快適ホルモン」とも言われるオキシトシンの分泌が促され、それにより穏やかさと安心感をもたらし、施術する側と受ける側との間に、親密感と信頼感が生みだされます。

また、スウェーデンハンドセラピーは「痛みの緩和」に貢献することも実証されています。

そのためスウェーデンでは早くから、がんや認知症などの緩和ケアの一環として、痛みの緩和に「代替医療行為」として使われて来ました。

この他にも特徴付けられる効果として、硬直した筋肉の緩和があります。

手が硬直している場合に、今まで開くことが難しかった手がマッサージの途中から硬直が緩み、終わる頃には手が柔らかくなり開くのが容易になることが往々にしてあります。

さらに、睡眠状況の改善や便秘の改善といった身体への働きかけだけでなく、施術によってもたらされる穏やかさや安心感は精神的な症状にも働きかけ、「落ち着き」が得られます。

その他にも触覚神経が刺激を受けることで、自分の身体領域を確認・認識・再認識することにも繋がります。

手当て」と、「ふれあい」のコミュニケーション

私たちは、昔から「手当」という言葉を使って来ました。

「お医者さんから手当を受ける」というように、お医者さんの手で触れられることで、身体が癒されるということ、

そしてお医者さんの立場では、「手で触れること」で身体の様子や反応で検診が出来、治療にもなるというわけです。

「手当」と言えば、昔から私たちは、誰から教わるまでもなく、体のどこかに痛みがあると、息を吹きかけたり手で摩ったりします。

幼児が転んだりして膝や手を打とうものなら、そこにフッと息を吹きかけ、「さぁ、もう大丈夫!」などと言ったりします。

しかし、これは「ただのおまじない」でも何でもなく、「撫でる」ことは実際に痛みの緩和にも繋がることが医学的にも証明されています。

このように、「触れる」ということは癒しにつながりますが、それだけではありません。

ハンドセラピーは、受け取る側と行う側との間に、親密感と信頼感を生みだします。

「ふれあう」ことで生まれる、コミュニケーションです。

看護や介護ケア職員にとっても、ケアの現場で、利用者や患者さんが、この「手当て」や「ふれあい」によって「心地よいケア」を感じることで、利用者や患者さんとの間の貴重な「架け橋」となることができます。

このため、利用者にとっても職員にとっても、一つの有効な「コミュニケーションの手段」として、現場での環境づくりやQOLの向上に大いに貢献しています。

QOLの向上

スウェーデンハンドマッサージは、特に認知症や障がいを持つ人など、周りとのコミュニケーションに困難を抱える人には、

「自分が慈しみを受けている」、「今、人に認められている」という意味合いを感じることで自意識の向上に繋がり、その結果日常的な生活のQOLの向上に繋がります。

訪問看護や介護などの場合、

ハンドマッサージは利用者や患者さんに喜ばれるため、看護や介護の場合の一つのスキルとして、良好な職場環境の向上にも役立ちます。

スウェーデンでは、幼稚園児同士が午前中にお互いに背中のマッサージをすることで児童同士の関係が穏やかになり、昼寝もスムーズにいくなどの効果も挙げられ、さらに小・中学校など学校教育の中でも、生徒同士の関係改善や集中力の向上という意味で取り上げられています。

さらに、ストレスの多い医療や福祉分野の現場では、職員同士がハンドセラピーを行い、「ケアをする人のケア」ということでも効果を示しているなど、様々な現場で取り入れるようになりました。

日本ではまた、親と子どもの間や高齢な家族との繋がりの中で、新しい形の関係作りやコミュニケーションを促す手段として期待されています。

スウェーデンハンドセラピーの実践

スウェーデンハンドセラピーは、手と足、背中のマッサージで構成されています。

手と足のマッサージでは一般的にオイルを使いますが、背中などは服の上からもできます。

マッサージによる体内でのオキシトシンの分泌は約10分でマックスに到達しますので、マッサージは背中、また手と足もそれぞれ約10分間行います。

マッサージの場所は、床やベッドの上あるいは車椅子上など、状況に応じて対応出来ます。

スウェーデンハンドマッサージでは「包み込む」という概念がよく使われ、そのため一般的にはタオルを使用します。

オイルとタオルはこの「包み込む」感覚のために大切な備品ですが、

一番大切なのは「手で触れる感触」と、受ける側が感じている感触を感知する「心遣い」と言えるでしょう。

スウェーデンハンドマッサージの手法の習得

平成22年6月に、スウェーデンハンドセラピーの普及と教育の運営を担うために、「一般社団法人 スウェーデンハンドセラピー協会」が発足しました。

スウェーデンハンドセラピーの手法は、協会認定のインストラクターによる講座を受けることで習得できます。

そのため協会はスウェーデンハンドセラピーの講座(2日間)を開催し、講座終了後には修了証が授与され、また多くのインストラクターが認定されました。

講座は全国的に開催され、大勢の人がその手法を習得して、病院や訪問看護ステーションなどの医療や、高齢者や障害者の施設、また児童ケアの分野で日常的にハンドセラピーの施術を行っています。

その後、「一般社団法人スウェーデンハンドセラピー協会」は発展的に解消しましたが、セラピーの継続を願う有志が集まり、現在は任意団体である「スウェーデンハンドセラピー協会」として、その発足に向けて準備中です。

参照:スウェーデンハンドセラピー協会
https://sweden-handtherapy.com/

「ふれあい」と「手当て」、そして融合!

私たち日本人は、いろいろな意味で人や社会での「ふれあい」を大切に、また人とのケアの場面では「手当をすること」を大切にしています。

スウェーデンハンドセラピーは、正にこの「ふれあい」と「手当」を融合するもので、また、スウェーデン生まれのこのケアは、その精神を体現する手法です。

この「ふれあい」と「手当」を大切にする日本で、多くの人がスウェーデンハンドセラピーの手法を習得して、福祉の現場や地域での生活の中で広がっていってほしいものです。