男らしさと、女らしさ!

スウェーデンは平等社会ですし、男女も同権ではありますが…
でも、まだまだ同権というにはいろいろ問題もあるようです。
何せスウェーデンには、「フェミニスト党」という政党があるくらいですから…。

「奥ゆかしさ」は女らしさ?

少し前ですが、イチロー選手が引退すると表明した後、ご夫婦で歩いている写真がニュースで流れたのを見ました。

奥さんが、イチロー選手の後ろから、3歩くらい後に歩いていて…それが、「女性らしい」という評判だったみたいですけど…

日本では、そういう「奥ゆかしさ」というものが、「女性らしさ」として評価されるんでしょうね。

スウェーデンには「奥ゆかしい」という言葉もないですけど、それを「謙虚さ」といっても、それは女性らしさを表しているものにはならないと思います。

「らしさ」の話…

僕がこっちに来たのは60年代も終わりの頃ですけど…その時代はヒッピーの影響もあって、男と女の「らしさ」の違いというものをなくそうとしていた時代でもあったと思います。

男も女も、当然着るものに違いはあるけど、当時は「ユニセックス」というのが流行って、まず見た目から男と女の違いをなくそうみたいな…

男ってあまり服装で自己主張しないみたいですけど、でも女性は、そこに自分の思想みたいのが表れるのか…

例えば、口紅なんてつけている人もいないし、ブラジャーなんてものもしないのが普通でした。
女らしさというものを消して、出さないように…でしょうね。

スウェーデンは春が長いので、5月も中旬になって急に初夏のようになると、街中でも有名な公園なんかには、それこそ100人以上の人が日光浴するんですが、その中の多くの女性はトップレスで、当時はそういうのも普通だったです。

いわゆるウーマンリブっていうのが盛んになってきた頃ですね…

その頃は、男らしさとか女らしさというものは何か否定的な比較の仕方で、「男と女には、全く違いがない」というのがモットーでした。

70年代に入ると、デビット・ボウイとか男のスターが化粧をするようになって…今のビジュアル系に繋がっていったみたいでしたけど…

そんな若者の世代が親世代になると、子どもの育て方についても議論が起きて、「男らしさとか女らしさとかは、環境と育児教育から始まる」というので、

まず、今まで男の子が好むと思われてきた青色系の洋服でなく赤色をとか…男の子に車の玩具、女の子に人形なんてとんでもない…みたいな議論が、教育の世界やいろんなことろで起きました。

家庭でも、男性も女性も仕事をしてるんで、主婦か主夫か知らないけど…家事は共同でやるのは当たり前になって…

でも、どうも男性と女性では、例えば食器洗いの方法にも違いがあるようで…

女性は一般的に、食事が終わるとすぐに食器を洗って、それが終わってからゆっくりする…という傾向があるのに対して、男性は一般的に、食事が終わるとテレビを見たりして、自分のやりたいことが終わってから「じゃ、洗い物でもするか…」ということで、お互いイライラして夫婦ゲンカになることが多いとか…

女子会なんかでは、如何に女性は男性よりも強いか…という話が多いとか…

一方で男性の間では、「女の場所は、やっぱり釜戸の前だよな…」みたいな話を、人に聞こえないように話したり…なんてことも、よく周りでありました。

で、

やがてスウェーデンでは、「優しいパパ(Mjukispappa)」というのが流行語にもなって、男性は「優しくて理解があって、家事も進んでやる」というのがモデルになってきました。

ところが、

その「優しいパパ」現象が、やがて…「近頃の男の子には、父親像がない」と批判されるようになって…

特に若者の暴力事件なんか起こると、「彼らには男性像がないから…」とネガティブな側面も議論されるようになって、女性らしさとか男性らしさというものの姿が改めて話されるようになった時期もあります。

そんな風潮が少し変わってきたのは、どうも僕の感じでは…
あのマドンナが出てきて、「女であって、何が悪い!」みたいな主張をしてからというか…

そのマドンナが、腹が割れたマッチョ的な男性ダンサーに囲まれて、それはまたセクシーな仕草で挑発するのが世の中の若い女性にも受けて、なんか新しい女性像が作られたような気もするんですけど、どうですかね…

スウェーデンには同棲婚というのがあって、結婚してなくても、共同で生活しているというのが多く、今は、離婚の時でも相続の時でも結婚と同じように扱われます。

60年代からしばらくはその傾向が強かったんですけど、ところが最近では、また伝統的な結婚をするカップルも増えてきました。

それなんかも、あのマドンナが女性らしさを誇張して主張しだしたのと同じ頃からだったような気がします。

ちなみにですけど…

スウェーデンでセクハラというと、昔は「男性が女性に嫌がらせをする」というのが多かったですけど、

最近は、例えば女性が多い保育園の職員の中で男性職員が疎外されるとか、男性の多い警察官の中で女性警察官が差別される…というように、「性の違いによる差別」というのが多くなって、今ではスウェーデンでの「セクハラの定義」にもなっています。

スウェーデンでは、今まで女性らしさとか男性らしさというものを議論した時代が結構長かった気がしますけど…

今は、そういうことは話さないまでも、お互いに同権で付き合うことで、それぞれの男らしさとか女らしさとかを、それぞれが探求している時代になったんじゃないかと思いますね。

そう、

「男らしさ」とか「女らしさ」というものは社会や周りが決めることではなく、結局は個人的な思考と好みの問題で、人は、その人なりの「らしい人」を求めているんではないでしょうか。

オーベルカーリックスへの道!

⚫︎北の町、オーベルカーリックス

オーベルカーリックス(Överkalix)というのは、おそらく海外旅行に詳しい日本の人にしても、あまり聞いたことのない地域だとは思います。

スウェーデン人でも、「カーリックス」というこの地域の比較的大きな町のことは「北にある町」として知っている人が多いので、「大体その辺だな…」といった程度の認知度だと思いますね。

僕の場合は、昔からの仲の良い友達がそこに引っ越して、何回か訪ねにいったことがあるので知っているわけですが…

僕は、この北極圏のすぐ近くにある町が大好きです。

ストックホルムからは、車で行くとE4ルートを通って約1000キロ、まっすぐ走り続けても約11時間半かかりますから、普通だとどっかで1泊する距離です。

分かりやすいように日本語でググると「エベルカーリックス」って出てきますが、このÖverkalixの「Ö」というのは、発音的にはオとエの中間というか、何とも独特の発音で、外国人にはすごく発音しにくい音で、エと出るのも仕方ないかな…って感じですけどね…。

とにかく…このオーベルカーリックスに行くのには、このE4ルートの他にも、ダーラナ地方を通って行くという手もあります。

E4ルートだと、ウプサラを超えてイェーブレを過ぎるとバルト海沿いに海岸線を通るので、まぁ、それぞれの町を堪能するにしても、あまり変化は期待できないかも…ですね。

なので、僕が行く時はダーラナを通って、ヨックモックというサーメ色の強い地域も通って…という道になることが多いです。

オーベルカーリックスの中心地は、スウェーデンでも大きい川の一つであるカーリックス川と、その脇を流れるエンゲセ川が合流して出来た中洲にあります。

オーベルカーリックス市は、広さが2919㎢ですから、神奈川県よりもちょっと広いという面積に、人口は全域で3300人、そのうち市街地に住んでいるのはおよそ1000人ですから、分かります?…この人口密度の少なさ…。

そうなんです、町の一歩外は、全くの原野です。
それも、ラップランドの大原野で、車で何時間走っても周りは森林と湖…。
北に50キロ行くと、「ここからは北極圏」という看板が立ってます。

この看板のあるところ、つまり北極圏の線上のうえをピョーンと飛んで越えると、またこの地に帰ってくるという話ですから、「トレビの泉」のコインみたいな話です。

でも、とにかくここまで来ると「北極圏」。
当然、サーメ人が住んでいますし、今は観光客にサーメ小屋も見せてくれます。

サーメ人といえば、これまた当然のようにトナカイがいます。
それも…おびただしい数の…。

まぁ、こんな数のトナカイの中にいてもしょうがないですけど、ちゃんと観光客相手をしてくれるトナカイもいます。

ヘラジカだっていますからね。

この1000人ちょっとチッコイ町ですけど、この街中には、病院とか高齢者住宅とか障害者のグループホームやデイセンター、警察や商店街とかちょっとした工場とか、一つの町が機能するものがほとんど揃っています。

それと…ここはやっぱり北極圏のすぐそばで、フィンランドやロシアとも地理的にも文化的にも近いので、ロシア正教の影響を受けた教会もあれば…

キリスト教がスウェーデンに入ってきた頃の、バイキング風の屋根の教会まであります。

この町に流れているカーリックス川はまた、スウェーデンでも有数の鮭の産地で、釣り好きには知られてます。

この町のレストランでは、鮭の料理を食べながら、鮭の話をしますからね…。

釣りといえば、冬に凍った川で穴を開けて釣りをする、こっちでいう「ピンペル釣り」というのも、冬の風物のひとつ。

ここでは、ピンペル釣りの世界選手権なんてのもありますから…。
もっとも、出場国は、お隣のやっぱり北極圏のある国が多いですけどね…。

でも、夏は夏で盛大に祝うことが多く、夏至祭には…どこにも負けない盛大な夏至祭りやりますし…

また、毎年、近郊地域から大勢人が集まって賑わう「夏の市」も開かれます。

この小さな町に、それこそ何千人と集まりますから、この町唯一のホテルも、この夏祭りだけで採算が合うんじゃないかって思うほどですけど、とにかく町の大きさを考えると、大きくて豪華なホテルです。

いや、「夏の市」だけじゃないですね…!
このオーベルカーリックの自然は、夏の白夜の時期は、とにかく輝きます。

でも、圧巻は、やっぱり「オーロラ」でしょう。
早い時には9月の末から、遅くは4月の初めまで、とにかく天気が良くて空が見えれば、何日も…毎日でもオーロラが見えます。

何だか、まるでオーベルカーリックスの観光大使になったような気分ですけど…

スウェーデンは自然が素晴らしいという中で、オーベルカーリックスはその多様性が僕は好きです。

車でキャンプして、ラップランドに来るなら、ここは絶対外せないですね…。