世界一臭い食べ物… !?

日本でよくバラエティー番組で、「世界で一番臭い食べ物」として面白おかしく取り上げられているのが、

この「シュールストレミング」と呼ばれているもの…

これ、スウェーデン語では「Surströmming」って言いますから、
ホントは、発音的には…「スールストロンミング」になるんですが…

そんなことはどうでもいい!

とにかく、この食べ物…何回も食べたことある僕としても、正に「臭い」です。臭いというよりも、悪臭ですね…

日本人だと…

こんな感じになりますが…

外国人だって、

何にでも果敢に挑戦するアメリカ人でも、こうなります。

アメリカ人だから挑戦もするだろうけど、味に敏感な…フランス人とかイタリア人なんて…もう近寄っただけで…ダメでしょう。
挑戦する気も萎えるっていうか…

僕が最初にこの洗礼を受けたのは、地下鉄の駅の中でした。

ある時地下鉄の階段を降りていると、下の方から異様な匂いが…
で、ホームまで行ったら…

あの〜、古い人だと覚えてるかもしれませんが…
昔、バキュームカーってあったのを覚えてます?
あの、臭いっていうか…悪臭!

もっと言うと、そのバキュームカーの蓋を開けて、中に首を突っ込んだような匂い!

「何事が起きたのか?」ってホームに行ったら、周りの人が、

「どこのバカか知らないけど、 ホームでスールストロンミングを開けた奴がいる…」って…まるで「犯人は誰だ?」みたいに騒いでました。

後でわかったんですけど、あの缶詰の蓋を開けると…たった一個の缶でも、地下鉄駅の構内全域に充満しちゃうくらい、匂いが凄いんですよね…

みんな騒いでましたけど、それもそのはず、これはスウェーデンの名物にはなってますけど…

実は、これストックホルムとか、南の人間はあまり食べない!
…っていうか、嫌ってますね。

元々これって、スウェーデンの北の地方で出来たものなので、スンズバル(Sundsvall)以北の人がよく食べる奴なんですよ。

北の方じゃ、みんなこれが好き…っていうか、伝統ある食べ物なんで、まぁ年に何回かは食べるでしょう。

とにかく、

その時は、その耐えきれない匂いを息を止めて我慢して…来た電車に逃げ込みました。

で、次の時は、モノ好きな仕事の同僚の、これもモノ好きなパーティーに出て、スールストロンミングだというんで、

まぁ「臭い」は我慢して一口食べたら…臭いはともかく、「ん? これはイケるかな…」と思って、一皿食べちゃいました。

それが…味的には、道産子の僕には、ちょっとニシン漬けみないな食感で…結構イケたんですよ…。

3回目もやっぱりパーティーでした。
そしたら、今度は匂いもあまり気にならなくなって…

4回目は…その味を思い出して…思わず唾が出てきましたね…w

スールストロンミングは、発酵食品なので、発売期は8月の第3週の木曜日になってるんですが、

北の方じゃ、その解禁日を心待ちに待っている人も多く…

缶を開けて…匂いを嗅いで…満面の表情に…

うわ〜、待ってました…って感じになるから不思議…

こういうモノ好きやグルメ好きだけじゃなく、

食事会にはなくてはならないもの…っていうのが、北のスウェーデン人。

いや、ストックホルムでも、普通の料理よりもっと趣を…という人には結構ニッチな料理です。

これは夏の終わりころから9月には食べごろですから…時々バルコニーなんかで食べる人もま〜ま〜いますし…
そんな時には、通りがかりの人が眉をひそめることも度々…

でも、北の地方ではともかく、ストックホルムや南の方じゃ、周りのひんしゅくを買うこともあるんで気をつけなきゃ…です。

家の中で缶を開けると、部屋中に猛烈な匂いが充満するんで、出来ればバルコニーとか庭とか、外で食べるのがオススメですけど、

外で食べても、慣れない人や、特に最近多い外国からの住民にはまだ…

もう…無理やり食べてる人もいます。

これ、ホンと古い伝統食品っていうか…

古くは、中世のヨーロッパでは、肉の代わりに塩漬けの魚が流通していて、その保存に塩が必要だったんですね…

で、北欧のスウェーデンでは、ニシンは豊富に獲れてたんですけど、製塩に必要な日射とか薪も乏しくて…
塩は貴重品だったので、樽に塩水で漬けて保存食にしていたんです。

でも、この方法は、固形の塩で漬ける方法に比べると、腐敗は防げても発酵は止められない…

だから、あの匂い…ですよ…

それで、

匂いはともかく、塩を節約してニシンを保存出来るのは重宝されたので、14世紀頃には広がっていって、

17世紀頃には、スウェーデン王国の軍隊では主要な糧食にまでなっていったそうです。

それでも、とにかくあの「悪臭」ですから、

比較的裕福だった、スウェーデンの中部にあるストックホルムや南の地方ではどちらかというと嫌われ、

貧しかった北の地方では、それが残っていて…ついには伝統料理にまでなった…というんでしょうね。

缶詰が実用化されたのは19世紀ですから、今のような形に製品化されたのも、それ以降でしょう。

缶詰の料理だけど、食べる時には、普通にそのまま料理として食べるか…

でも、やっぱり多いのは、スウェーデンの北の地方の伝統的なパンと一緒に…

クリームやミルクなどもたっぷり使って、ビールやイモ焼酎などと一緒に食べるというのが普通です。

以前には、「日本に持って行って、家族や友人に勧めてみようかな〜」なんて思ったこともあるんですが、

とにかく、缶で密封してから発酵するんで…しばらくすると缶の蓋が膨らんで…時には「爆発」することもあるんで、

飛行機の中では「持ち込み禁止」でしたから、ダメでしたね…

だって…機内で爆発して、あの臭い汁が「シュー」って吹き出して、機内中に「あの悪臭」が充満したら…

想像ですけど…

心臓マヒ起こす人が出るかも…です。
逃げられないんですから…

船便ならOKだから、ネット販売なら買えるかも…です。

その「臭さ」なんですけど、日本で焼きたての「くさや」を食べたことありますけど…問題にならないですね…w

ちょっとしたグラフがありますけど…

臭い食べ物の代表例

まぁ、くさやの何倍も…ですから、やっぱり世界一なんでしょうね…。

でも、さっきも言ったように、僕でも「4回目」には匂いを感じて思わず唾が出て来たほどですから、美味しいことは間違いないですよ!

ちなみに…ですけど、

スールストロンミングは、白内障や緑内障防止になるという話もあって、日本じゃ実際に効果があったという声もあるらしいですけど…

医学界では、未だに認められていないそうな…。

どうも…

奨めているのか、敬遠を促しているのか…
自分でもわからない話で、スミマセン!

アイデンティティーの話!

僕の住んでいるところには、外国からの移民が多いということは前にも書きましたけど…

イスラムの衣服であるガラバイヤを着ているヨーロッパ人を見たり、アフガニスタン人から「兄弟」と言われて戸惑ったり、自宅のバルコニーから見える児童公園でスウェーデン語で遊んでる子供たちを見ると、時々アイデンティティーということを考えます。

日本にいた若い頃は、自分のアイデンティティーというのはあまり考えたことがなかったし、強いて言えば、子供の頃に北海道以外の地域のことを「内地」というのを聞いたことがある程度…

あとは、身に覚えのない「昔は士族」ということに不思議な気持ちを覚えていたくらいでした。

こっちに来てからは、もちろん自分は日本人だということは自覚してるし、日本とスウェーデンと比べて「これはおかしい」とか、日本の方が良いとか悪いとか考えたことはたっくさんあるけど…

それでも、自分のアイデンティティーを考える…というのともちょっと違って、「俺は俺」的に過ごしていました。

人はそれぞれ違うというのは、どこへ行っても同じですから…

でも、それ以降ですけど、自分で「えっ?」と思ったことも何回かあります。

最初は、こっちに来てから10年もたった頃…

ある時自宅で何気なしにラジオが流れてるのを聞いていて、何か不思議な楽器で…聞き慣れたような…ないような曲が流れているのに気が付いた時…

「あれっ、これバンジョーみたいだけど、そうでもないし…ブルースのようにも聞こえるけど、そうでもない…」と思いながら聞いてると、曲が終わった後でコメンターが…

「ただいまのは、日本の『ツガルジャミセン』という楽器の演奏でした」と言ったのを聞いて、ホントにビックリしましたね…

日本にいた時は、芝居は新劇、音楽はフォークやロック、演歌は酒場で聞く音楽で…「歌舞伎や浄瑠璃なんて、何言ってるかもわからん」ってな調子で、どっちかというと、正直日本のものよりもアメリカ・ヨーロッパ的なものを追っていた感じだったし、僕の世代そのものがそうだったような気もしてました。

ところが…

その時、バンジョーかと思ったのが津軽三味線で、ブルースかと思った曲が東北の日本民謡っだってわかって…

「俺は一体、日本の何を知っているんだろう?」という、いわば逆カルチュアショックを、ドカーンと感じたわけです。

こっちに来て10年も経って、それこそ黒人や白人、いろんな国からの人と演奏やって、こっちの生活にも馴染んで…

いろんな人と日本人や日本についても話をして…

でも俺は日本って国、実はよく知らなかった…って気付いた時のショックは大きかったです。

それからですね…禅の本を読んだり、司馬遼太郎の「街道をゆく」を読み漁ったり…

インターネットなんて、まだなかった時代の話です。

それからまた10数年経って、スウェーデン人のグループと日本に演奏ツアーに行った最初の年に、ある人に…

「JRって何ですか?」とか「NTTって?」と聞いたら、その人から…
「オターキさんって、日本人なんですかスウェーデン人なんですか?」って聞かれた時…

もっと経って、ガンで入院していた親父との今生の別れを前に札幌の病院を訪ねたら、親父がお袋に「お前…もうあいつは日本人じゃないんだから…気にすんな!」って病室でコソッと言ったのをドア越しに聞いた時…

まぁ、他にもそんな話はたくさんあるんですが…

とにかく、自分はスウェーデン人でも日本人でもないって思わされる時があって、「じゃあ、俺は何人なんだよ?」って思うことも度々でした。

時々…何か考えたり、人と話していて…

「俺がこう考えるのは…

俺がスウェーデン長いからか?
それとも、日本から来たからか?

そもそも、日本から海外に出てしまうような俺だからか?
それとも、今は、ただそういう俺だからか?」

などなど…

でも…

今、こうしてバルコニーの外から、いろんな人種が、その人種ともまた違うだろう子どもたちと公園で語らってるのを見て、

改めて、「何人なんて関係ない。自分は自分!」って、つくずく思いますね。

そして、日本人とか侍の末裔とかそんなこととは無関係でも、自分の子どもに「侍って、何?」と聞かれると、「う〜ん、文武両道ってこと大切にする人かな?」って言ってます。

侍の由来とかどんなもんかはある程度教えてあるけど、それでも、子どもなりに気になるらしい。

それにしても、「文武両道」って、何も武士の精神だけじゃなく、本当はもっとグローバルなもんだと思ってます。

人間って、要は「身体を持って、考える存在」じゃないですか…

「自分なりの考えや知識を深めて、生きている身体を健康にすること」ですから、「文武両道」ってのは何も武士の精神っていうよりも、もっとグローバルなもんだと思います。

スウェーデン人にはそういう人いっぱいいますし、大体これって、何人とかどんな人とかって関係ない。

普通に、人間ってそういう生き物なんだと思います。

津軽三味線もグローバルだし、武士道もグローバルだし、そう思うと、人間って元々グローバルな生き物んですよね…