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Home スウェーデン スウェーデン情報 「レックス サーラ」について

「レックス サーラ」について

職員に課されている、職場の劣悪なサービスを訴える義務


「レックス サーラ」というのは、スウェーデン福祉の基盤となる社会サービス法の第2章14条の別名です。
どういう条項かというと、スウェーデンの高齢者福祉、障害者福祉の施設に勤務する職員は、職場において 利用者への暴行やサービス放棄、その他利用者が被害を受けることがあれば、自分の職場を地域の社会局に訴えなければならないという義務のことです。

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当時の新聞記事

ことの起こりは、1997年の10月、ストックホルム市郊外にある高齢者の施設に勤務していた準看護師(日本の介護福祉士)のサーラ・ヴェグネットさんが、テレビのニュース番組で、自分の勤務する施設での利用者へのサービスが如何に劣悪であるかという窮状を訴えたことでした。
これがマスコミの注目を集め、その後は施設での暮らしやサービスのあり方が社会問題となり、その2年後の1999年には社会サービス法の中に「レックス サーラ」と呼ばれる条項が加わり、それ以降施設に勤務する職員には、自分の施設での劣悪なサービスを察知すると、それを職場ではなく直接社会局に訴えなければいけないという義務となったわけです。

その後、この「レックス サーラ」は、全国的に、障害者施設や高齢者の居住施設などでの惨状や劣悪なサービスを次々と暴き出すきっかけとなり、「レックス サーラ」は施設の利用者の状況を改善するためのキーワードともなりました。

それ以前は、施設の職員がそういう劣悪な状況を知ったとしても、それがステイタスの低い職員であれば、せいぜい同僚同士で話すくらいで、内部的に取り上げられることも少なく、また施設の長がその事実を知っていたとしても、外部に漏らすことはほとんどありませんでした。いわゆる「組織的な隠蔽」はスウェーデンでもあったわけです。
また、施設の運営が民営化されると、経費削減のために職員数も少なくなったところも多く、利用者へのサービスの質も低下した部分もありました。レックス サーラは、そんな状況に警告を発したわけで、それ以降の利用者サービスの向上に大きな貢献をしました。

「レックス サーラ」という条項は、公営・民営を問わず、すべての高齢者・障害者施設に関わる、職員はもちろん、政治家やボランティアなどもその対象になっています。
また、それらの劣悪な状況は、その事実を把握してからではなく、そういう状況が疑わしいと思われる時点で訴えることが出来ます 。

問題になる劣悪な状況は、利用者の健康と安全を侵害する、身体的、精神的、性的、あるいは経済的な強制や暴力、またサービスの欠陥や放棄などが含まれます。
福祉を管轄するコミューン(市町村)は、公営・民営を問わず、すべての施設やその職員に「レックス サーラ」について説明し、情報を提供する義務を負っています。
また、「レックス サーラ」は、いわゆる福祉部門での条項ですが、病院などの医療施設には「レックス マリア」と呼ばれるものがあり、公営・民営の医療施設での検査・治療やケアにおいて、病院職員に対して同様のものを、社会庁に訴える義務を与えています。
スウェーデンにおける福祉の質というものも、このような実践的な対応で利用者や患者の権利や尊厳が擁護されていますが、それもこのような実践の中での体験を経ているわけです。



 

 

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