スウェーデンに学ぶサスティナブルライフ
最近、よく「サスティナブル」という言葉があちこちで言われるようになったですけど、日本語では「持続可能な」と訳されて、特に地球の自然環境の維持に役立つ事業や開発、自然環境に配慮した行動を表現する際によく聞くようになった言葉です。
サスティナブルとか持続可能と言っても、どうもよくわからないという人が多いと思うんですが、日常会話ではあまり使われないようですから、ちょっと馴染めないかもしれないですね。
でも、伝統を重んじる日本では「長持ちする」といえば、ちょっとわかりやすいのかな?
長持ちするというのは、ものの質が良いことを意味しているし、また質素で堅実とか、古き良き日本の美徳を象徴しているかもしれないじゃないですか…
そこで今日は、スウェーデンから、「サスティナブルな北欧ライフ」を日本に向けて発信しているCoco Engströmさんをご紹介したいと思います。
「持続可能な生活」というとピンとこないかもしれないですけど、「サスティナブルな北欧ライフ」というとなんとなく納得するような…そんなスウェーデンでの暮らしの中で、スウェーデンに留学を希望する人や、海外生活に興味のある人、あるいは北欧の生活に関心のある人たちに向けて、多様性に溢れた暮らしを紹介しているCoco Engströmさん。
早速、いつもの質問形式でご紹介しますね。
●スウェーデン在住はいつから、どんなきっかけで?
オーストラリアに留学した際に、スウェーデン人の夫と出会い、2013年−2015年約3年、そして2018年秋から今までの約2年、合計5年ほどストックホルムに住んでいます。
●簡単な略歴を教えてください。
北国出身の30代。オーストラリアでの交換留学後、休学をしてブリティッシュカウンシル派遣プログラムで渡英。
日本の大学を卒業後、ストックホルム大学院に進学。
東京で私費教育機関の留学カウンセラーを3年。
同社で動画マーケティング部へ移動を機に、スウェーデンへ移住。
2020年夏にサステイナブルな北欧ライフを学んで伝えるYouTubeを開始。
現在はスウェーデンのデザインEコマース会社でマーケティングを担当。
●お住まいとご家族について。
ストックホルム在住。
夫と猫1匹と暮らしています。
今年の春に第一子出産予定。
●現在のお仕事やご自分の関心ごと、日本に伝えたい分野について。
スウェーデンに来て変わった意識:
・どこにいても働けるスキルを身につけていきたいと思うようになった。
・モノへの執着心がなくなり、シンプルな生活を好むようになった。
・環境危機を自分ごとに考えるようになった。
【どこにいても働けるスキルを身につけていきたいと思うようになった】
スウェーデン企業の留学関連事業のマーケティング部で働いていたが、コロナが深刻化した2020年春、経営難で部署ごとなくなるという事態に。
そこで約5年勤めた会社を去らなければならなくなりました。
まさかの異国スウェーデンでコロナ解雇に合い、自分の働き方を見直す機会を得ました。
英語とスウェーデン語はできても、ここではそれは差別化できるほどのスキルにはなりません。
そんな中、
1)どこにいても仕事ができる社会へと一気に世の中がシフトした、
2)仕事で得た「動画マーケティング」が楽しかった、
3)もっとオンラインマーケティングのノウハウを手に入れて、経験値をあげていきたいと思った、
4)自分の人生をもっと面白くより柔軟にしたくなったという点に気づくようになりました。
【モノへの執着心がなくなり、シンプルな生活を好むようになった】
そして、スウェーデンに住むようになってから自然に触れやすい環境が周りにあること、アフターワークの時間に余裕ができたことなど、少しゆとりを持って生活することができるようになりました。
東京で仕事をしていた時は、きちんとメイクをして、ハイヒールを履いて、ジムに行って、おしゃれしてしっかり働く。
そんな生活をしていたので、森でゆっくり散歩したり、平日にフィーカ(お茶をする)の時間を作ることなどほとんどありませんでした。
20代のうちは「もっと、もっと」と忙しく働いていた自分が、30代になると環境に感謝するようになり、モノを持つことよりも、少ないモノで生きる方が心地が良いと思うようになりました。
年齢もあるのかもしれませんが、スウェーデンではノーメイクで散歩しても平気ですし、何を着ているか何を持っているかなどの見た目よりも、「その人の価値観や仕事、やりたいこと、興味のあること、どんなことをしているか」などに人々の関心があるのかなと感じるようになりました。
そうしてだんだん「足るを知る」という言葉がしっくりくるようになってきました。
【環境危機を自分ごとに考えるようになった】
スウェーデンでは環境活動家のグレタさんが活躍したり、若い世代は環境に配慮してビーガンを選んだり、政府も企業も環境危機を真剣に受け止め行動しようとしています。
もちろん全く足りてはいませんが、そのようなサステイナブルな話題が新聞にもニュースにもフィーカの時間にも、スウェーデン語の教科書にまでもどんどん出てきます。
サステイナブルな(持続可能な)社会を見つめる環境で過ごしているうちに、自分たち大人が散々汚してきた環境のせいで子どもたちが生きづらい状況になっていること、その環境危機がどれだけ深刻な状態かということ、自分は今まで特に考えることもなく資源の消費しかしてこなかったこと、そういった点に気づき「このままでは未来の子どもたちに胸を張って、できることをしたよと言えない」と思うようになりました。
そういった意識の変化によって「サステイナブルな生き方を学びたい。
この状況を日本にも伝えたい。日本もまだできることは残っているはず。
できることをまずは自分からやってみよう。」そういった考えに辿り着きました。
学ぶためにはアウトプットの場が必要、そして楽しみながら続けられることが大切だと思いプラットフォームを検討し始めました。
以前の仕事でYouTubeなどのソーシャルメディアの動画作成をするチームにいたので、少しでも知識があるならこれを機に自分個人でもやってみようと踏み切り、今までやってみたいと思っていたYouTubeにチャネルを開設することに。
週に1回ほど、普段の北欧スウェーデンの生活の様子や、サステイナブルなライフスタイルを探す上でのヒントになること、学んだ情報などをシェアするようにしています。
スウェーデンのスーパーにはたくさんの植物性タンパク質が売っているので選択肢が多いことの楽しさや大切さを伝えたり、賢い消費者となるためにも自分が買い物をするときに気をつけていることや「透明性が高く、持続可能なビジネス」を紹介したりすることで、見ている方に「こんな生き方があっていいんだ、100%完全にシフトできなくても、できることから少しずつ実践してみよう」と思ってもらえたらと嬉しいです。
そして自分自身アウトプットする場があると、進んで学ぼう、もう少し調べようと思えるので自分自身を鼓舞するためにも良い場所かなと思っています。
フルタイムで仕事をしていると更新が遅くなってしまうこともあるのですが、自分が楽しめる限り続けていきたいです。
●ご自分に関して、紹介して良いリンク、SNS、HPなど。
YouTube:https://www.youtube.com/c/cocoengstrom
Instagram:https://www.instagram.com/coco.engstrom
●その他、日本とスウェーデンの交流やご自分の抱負などについてなど。
どこの国にも良い面・改善できる面はあると思います。
何が正しいか、何が間違っているかということは簡単にわかるものではありません。
多分自分が100歳になってもわからないんだと思います。
でもいろいろな価値観があって当然です。
「知ること」そして「選択肢を増やすこと」は大切だと思うので、日々急激に変化する社会である環境に感謝しつつ、自分より若い世代から学び続け、知的好奇心に溢れた人生にしたいなと思っています。
「サスティナブル」にしろ「持続可能な」にしろ、非常に広範囲な深い意味を持っていると思いますけど、Cocoさんの過ごしてこられた過程や活動を通して、その深い意味もわかりやすく、そして、それははまた日常生活の中で普通に暮らすということの中にあるということが感じられますね。
Cocoさん、ありがとうございました。